片頭痛でこめかみや側頭部がズキズキと痛んでくると、日常生活にも支障をきたすと思います。
それなのに、片頭痛は現代医療でもいまだに原因が解明されておらず、頭痛外来などで検査をして脳疾患がみられなければ、結局、薬を飲んで頭痛の発作が治まるのを待つしかありません。
しかし、片頭痛の症状はすべて頚椎の歪みによって説明がつくのはご存じでしょうか?
この記事では、慢性的に繰り返す片頭痛の原因と、頚椎の歪みの関係について解説していきます。
片頭痛の症状
国際頭痛学会が発表している国際頭痛分類によると、片頭痛は一次性頭痛といって命には関わらない頭痛に分類されます。
緊張型頭痛と比べると、年代や性別に偏りが見られるのが特徴で、20~40歳代の女性に好発し、男女比も1:4の割合で女性が多くなっています。
その他にも症状として、以下のような特徴があります。
- こめかみから側頭部にかけて、ズキンズキンと脈打つような拍動性の頭痛
- 頭痛の強さは中~重度で日常生活に支障をきたすことが多い
- 歩行、階段昇降、入浴、家事などの日常動作で頭痛が悪化する
- 視界がちらつくなどの前兆症状がみられることがある
- 光、音、におい過敏、吐き気や嘔吐をともなう
- 頭痛発作が一ヶ月に1~5回程度繰り返される
このような特徴を持った頭痛で必要な項目を満たし、脳疾患などがみられなければ片頭痛と診断されます。
血管拡張や神経興奮の理由はなに?
片頭痛の原因はいまだに確定していませんが、「血管の拡張や三叉神経の興奮が影響している」という説が有力です。
脳幹にある橋という場所から出る神経で、途中の三叉神経節で3本の神経に枝分かれしながら、側頭部や頭頂部を含む顔面の大部分の感覚を支配する。
たしかにズキズキと脈打つように痛むのは血管が拍動している影響ですし、三叉神経は側頭部やこめかみ以外にも眼や鼻の感覚に関わっています。
したがって、血管の拡張や三叉神経の興奮が影響しているというのは、片頭痛の誘因として相応の説得力があるでしょう。
しかし、ここで考えないといけないのは、「なぜ血管の拡張や三叉神経の興奮が起こるのか?」ということです。
この問題を解消しなければ、結局、血管の拡張や神経の興奮によって頭が痛くなるたびに、頭痛薬を飲み続けるしかありません。
薬を飲んだからといって片頭痛の根本的な原因が解消される訳ではありませんから、予防のために毎日薬を飲み、頭が痛くなれば急いでまた薬を飲む、というように、この先も薬物療法から抜け出すことは難しいでしょう。
片頭痛の原因
冒頭にも書いたように、片頭痛の症状には頚椎の歪みが関わっています。
これは解剖学的な問題で、首には脳に血液を送るための血管や、自律神経の中枢がある脳幹が存在しています。
そのため、首が歪むとそれらの血管や神経、脳幹が物理的に圧迫されるようになるからです。
通常、首を正面から見た場合は、すべての骨が一列に揃っているのが正常な状態です。
左側の正常な状態であれば、首を通る血管が圧迫されることはなく、脳幹が刺激されることもありません。
しかし、右側のレントゲンのように歪んでしまうと、歪んだ骨が物理的に血管や脳幹を圧迫するようになるので、脳への血流が妨げられたり、自律神経や三叉神経が刺激されて興奮が強くなります。
その結果、ズキズキと血管の拍動に合わせて頭が痛くなったり、三叉神経の支配領域であるこめかみや側頭部の神経痛につながります。
拍動性の頭痛の正体
ズキズキと脈打つような頭痛の正体は、椎骨動脈という血管の圧迫によるものです。
椎骨動脈は脳に血液を送るための血管の一つなのですが、その走行には特徴があって、頚椎にある横突孔という穴を通ります。
どういうことかというと、椎骨動脈は心臓から出たあと首の骨の中に入り、そのまま首に沿って脳に入ることになります。
そこで、下のレントゲンのように首が折れ曲がるように歪むと、首に沿って走行している椎骨動脈もいっしょに折れ曲がるようになります。
この状態は言ってみれば、ホースが折り曲げられたような状態ですから、中を通る血液の流れが悪くなってしまいます。
ただし、血管が折れ曲がって血液が通りにくくなっても、脳には血を送らなければなりません。
そうすると、血管の中で血液が渋滞を起こして膨張し、脈打つたびに狭くなった横突孔の中で圧迫されて、ズキンズキンと拍動するような痛みが出るようになります。
疲労やストレスが溜まると片頭痛が出やすいのも、ただでさえ首が歪んで椎骨動脈の血流が悪くなっているのに、血圧が上がってさらに圧迫が強くなるからですね。
側頭部の痛みと吐き気を引き起こす神経
こめかみや側頭部の痛み、吐き気などの症状については、頚椎と脳幹の位置に問題があります。
側頭部や顔面の感覚支配する三叉神経は脳幹から出ています。
脳幹からはその他にも、自律神経の中枢などが存在していて、呼吸、心拍、体温などのコントロールもしている非常に重要な場所です。
その脳幹の一部である延髄の場所は、首を正面から見ると、ちょうど口を開けた奥あたりになります。
この場所のことを上部頚椎というのですが、ここが歪んでしまうと物理的に延髄を刺激してしまうようになるので、自律神経や脳神経の興奮につながります。
側頭部やこめかみの感覚を支配する三叉神経も、脳幹から出ている脳神経の一種ですから、歪んだ骨に圧迫されると炎症を起こして、支配領域に神経痛のような症状を出すようになります。
また、延髄には嘔吐中枢も存在しています。
歪んだ骨に延髄が圧迫されると嘔吐中枢が刺激されるので、迷走神経などを介してその情報が胃に伝わります。
その結果、胃が逆流して横隔膜や腹筋が収縮してくると、吐き気がして気分が悪くなるので、ひどい場合には嘔吐につながります。
年齢とともに変化する痛み
片頭痛患者の25%は小児期から発症していて、ほとんどは30代までには頭痛を発症すると言われています。
しかし、片頭痛は年齢とともに症状が変化することが多いのも特徴で、ある程度の年齢になるといつの間にか頭痛が弱まり、緊張型頭痛に移行していくことがあります。
これにも骨格の歪みが関わっているのですが、手放しで喜べるような状況ではありません。
骨格の歪みは怪我や病気とは性質が違いますから、時間が経てば治るようなものではなく、基本的には正しく矯正する以外に改善の方法はないので、むしろ時間の経過とともに悪化していきます。
片頭痛が弱まって緊張型頭痛に移行するのは、頚椎の歪みが悪化して形が変わり、出てくる頭痛のタイプにも変化がみられるようになるからです。
片頭痛が弱まったとはいえ歪みは悪化しているので、今度は首自体に変形性頚椎症などの問題が起きて、首の痛みが強くなるだけでなく、腕のしびれが出てくることにもなりかねません。
片頭痛のピークが30代なのに対し、頚椎症は40〜50代から増えてくるのも、頚椎の歪みが進行して、出てくる症状のステージが変わるからですね。
長いスパンで考えて将来も健康で過ごしたいなら、やはり早めに対処しておくに越したことはないでしょう。
片頭痛の根本的な治し方
このような片頭痛に対しては、頚椎の歪みを矯正することで改善が可能です。
折れ曲がっていた首の歪みを矯正すれば、椎骨動脈の圧迫が解消されて、滞りなく脳まで血液が届くようになります。
また、上部頚椎の位置が元に戻れば、脳幹の圧迫も解消されますから、三叉神経の興奮も治まるでしょう。
血管の拡張や神経の興奮が起こらなくなると、それがきっかけとなっている片頭痛も出てこなくなります。
片頭痛のまとめ
頭痛は命に関わる病気の兆候なこともありますので、まずは病院で詳しく脳の検査を受けるべきです。
しかし、検査をして脳に異常が見つからなければ、その片頭痛は頚椎の歪みが原因である可能性が高いです。
頭痛体質だと諦めて薬を飲み続けているのなら、いちど頚椎の歪みを確認してみましょう。