頚椎症性神経根症で骨が変形する原因と腕のしびれの治療法

頚椎症から神経根症状が出てくるものを頚椎症性神経根症けいついしょうせいしんけいこんしょうと呼びます。

頚椎症で首の骨が変形してくると、変形した骨が神経根に当たるようになるので、首の痛みだけでなく腕のしびれまで出てしまっている状態ですね。

一般的に、原因は加齢による骨や椎間板の変性だと言われていますが、実際は頚椎の歪みが強く影響しているので、そのメカニズムと対処法について詳しく解説していきます。

頚椎症性神経根症について

冒頭でご説明したように、頚椎症性神経根症とは、頚椎症から派生して神経根症状がみられるようになったものです。

頚椎症からの首の痛みや可動域制限(動きにくさ)に加えて、神経根を圧迫されることによる腕の痛みやしびれが特徴的な症状です。

レントゲンを撮ったときに、骨のすき間が狭くなって骨棘こつきょくというトゲの形成がみられたり、MRI検査で神経根の圧迫が確認されると、頚椎症性神経根症と診断されることが多いでしょう。

頚椎症のMRI画像

治療は消炎鎮痛剤での薬物療法や、牽引療法をおこなって症状の緩和を待つことが多いのですが、骨の変形による神経圧迫という性質に注意する必要があります。

保存療法で一時的に症状が緩和したとしても、骨が変形する原因を突き止めて解消しなければ、時間の経過とともにいずれ再発する可能性が高いからです。

首の痛みや腕のしびれが再発したときに、骨の変形が進行していれば症状も強くなっているでしょうから、日常生活にも支障が出てくるようになるかもしれません。

保存療法では問題の先送りにしかなりませんので、手術以外の選択肢が残されているうちにきちんと対処することが大切です。

参考サイト:日本整形外科学会

骨棘ができる理由はなに?

繰り返しになりますが、頚椎症性神経根症は骨棘と呼ばれるトゲ状に変形した骨が、神経根を圧迫することで起こります。

しかし、骨棘が神経に当たるのは表面的な結果であって、根本的な原因ではないということを頭に入れておかなければなりません。

根本的な原因は「なぜ骨が変形して骨棘ができるのか?」ということで、もともと存在しないはずのものが出来てしまっているのですから、この問題を解消しなければ根本的な改善にはなりません。

対処する問題の図

したがって、頚椎症性神経根症で対処するべき問題も、神経根が圧迫されて腕がしびれることではなくて、骨が変形して神経を圧迫してしまう理由の方だと言えるでしょう。

では、なぜ骨棘ができるのかというと、骨に持続的な刺激が加わることによって変性してきた結果、トゲ状の隆起が生じてしまうというのが理由です。

この「持続的な刺激」というのが、頚椎の歪みであることが多いのです。

頚椎が歪むと骨に負担が掛かる

通常、頚椎を横から見た場合は、前に向かってカーブしているのが正常な形です。

この形には様々な意味があるのですが、頚椎症性神経根症という視点から考えた際には、頚椎に掛かる頭の重みを分散することがあげられます。

人間の頭は意外と重量があって、体格にもよりますが成人の平均で約6kgほどだと言われています。

私たちはその重たい頭を、横になって寝ている時間以外は、首の上に乗せて支えているわけですから、そもそもが首には負担の掛かりやすい構造になっています。

頚椎のカーブ

そこで役に立つのが頚椎のカーブで、この構造は耐荷重に優れた特性を持っていて、一点に負担を集中させないように、バランスよく荷重を分散させるはたらきがあります。

頚椎は7個の骨から構成されているのですが、この構造をしているおかげで、それぞれの骨に頭の荷重を均等に分散して支えることができるようになります。

ところが、頚椎が歪んでカーブがなくなると、首に掛かる頭の荷重を分散できなくなり、一部の骨に負担が集中するようになってしまいます。

負担が掛かっている骨から変形する

頚椎のカーブがなくなって負担が集中するのは歪んでいる骨です。

これはカーブがなくなることによって、歪んでいる場所で荷重を逃せなくなり、その一点に負担が集中するようになるからです。

骨棘が出来ているレントゲン

そうすると、その負担が持続的な刺激となり、骨が増殖性変化を起こして骨棘が形成されます。

そして骨棘が神経根に当たるようになると、腕に痛みやしびれのような放散痛を出したり、運動神経が圧迫されると筋力低下を起こすようになるわけですね。

骨の変形は加齢だけの問題ではない

整形外科などで診察を受けると、骨の変形は加齢が原因だと言われることが多いと思います。

しかし、これも本質をついた表現だとは言えません。

たしかに年齢とともに椎間板の水分は失われ、骨の強度も低下してきますから、加齢の影響がないわけではありません。

しかし、レントゲンを確認してみても、骨棘が形成されるのは歪んでいる骨の周辺に集中しています。

一部の骨だけ変形している頚椎のレントゲン

ほかの骨よりも著しく変形が進んでいる場所があるということは、その部分に集中的に負担が掛かっているという証拠であって、本当に加齢だけが原因であればすべての骨が同じように変形しているはずでしょう。

頚椎症性神経根症が40代以降に発症することが多いのも、単純な加齢性変化というよりは、長年の頚椎の歪みによって骨に持続的な負担が掛かり、ようやく神経を圧迫するまで骨が変形してきた結果です。

その証拠に、いま頚椎症性神経根症で困っている方は、もっと若いころから首の痛みや肩こりに悩まされていたのではないでしょうか。

頚椎症性神経根症は治るのか?

残念ながら骨の変形は不可逆ですから、いちどできてしまった骨棘がなくなることも、小さくなることもありません。

しかし、骨棘の大きさによっては、歪んでしまった骨の位置を戻すことによって、神経の圧迫を解消するとともに、骨の変形が今以上に進まないようにすることは可能です。

神経圧迫を解消して腕のしびれを改善する方法

頚椎のカーブがなくなるのは、一部の骨が歪んで後方にずれてくることが原因です。

骨棘のできた骨が後ろにずれてくると、骨の後ろには脊髄や神経根が出ていますから、それらに当たって圧迫するようになります。

頚椎症性神経根症のプレポスレントゲン

ということは、歪んだ骨を矯正して前に戻せば、神経の圧迫を改善することができます。

また、歪んだ骨を前に戻せばカーブも回復しますから、再び頭の重みを分散して支えられるようになるので、骨の変形が進行するのを食い止めることが可能ですし、首の痛みも改善します。

骨が癒合していたら手術も選択肢に入る

ただし、骨格矯正も万能ではありませんので、骨の変形が一定以上進行してしまうと改善が難しくなります。

骨に掛かる負担を取り除かなければ、変形は少しずつ進行していきます。

そうすると、骨棘が大きくなりすぎて隣の骨まで到達し、骨同士が癒合してしまうことがあります。

癒合した骨を矯正しようにも、くっついてしまって動きようがありませんから、レントゲンを分析したときに骨がくっついている場合は、矯正をお断りすることになります。

癒合した頚椎のレントゲン

これは言ってみれば、「原因は分かっているけど治す方法がない」という状況ですから、保存療法で症状をごまかし続けるか、手術をして骨を削るしか選択肢がなくなってしまいます。

手術をすればすべて解決するかというとこれも難しいところで、たとえ骨を削ったとしても、頚椎が歪んだままであれば骨に掛かる負担は変わっていませんので、時間が経てば同じ場所が再び変形してくることがあります。

実際に当院にも、「手術をしたけど痛みが取れない」という方が来られることがありますが、レントゲンで骨格の歪みを分析すると、骨が癒合していて矯正はお断りすることが多いです。

そうなれば、一生痛みと付き合っていかなければなりませんから、将来のことまで長期的に考えて、なるべく早く根本的な治療をはじめるようにしましょう。

まとめ

首の痛みや腕のしびれが強くなると、どうしても症状に意識がいってしまうかもしれませんが、それはあくまでも表面的な事象です。

二度と同じ問題に悩まされずに、将来も健康の不安なく生きていくためには、骨の変形を引き起こしている根本的な原因を改善しなければなりません。

首の骨が変形して神経を圧迫するようになるのは、頚椎の歪みが原因になっていることが多いですから、改善の余地がある間に骨格の歪みを確認するようにしてください。

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オフィス カロマ

レントゲンを用いた画像分析に基づいて、骨格の歪みを取り除いていく最先端骨格矯正を専門におこなっています。
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