骨格は私たちが人間として生活するために、欠かせない役割を担っています。
代表的なものは体を支える柱としての役割と、もうひとつは頭蓋骨で脳を保護し、脳から出ている脊髄を背骨の中に収めて守る、という役割です。
その骨格が歪むと構造的な問題が発生して、関節、筋肉、神経に影響し、様々な症状や体の不調につながりますので、健康を維持するためにもきれいな状態で保っておかなければなりません。
そこで、骨格が歪む原因で多いもの上位三つと、日常生活で気をつけることをご紹介していきますので、体の歪みが気になる方は最後までご覧ください。
外部からの衝撃
骨格が歪む原因でいちばん多いのは、外傷といって体の外部から受ける衝撃です。
転倒して体をぶつける、交通事故に遭うなどは典型的な外傷で、体の外部から衝撃を受けると、その弾みで関節に小さなズレが起こってしまいます。
骨格の歪みは、基本的には正しく矯正する以外に改善の方法がなく、進行性の性質を持っています。
したがって、矯正をしなければ時間の経過とともに悪化していくことは避けられません。
このような性質から、転倒の際に生じた関節の小さなズレは、時間の経過とともに徐々に大きくなり、やがて大きな歪みへと発展していくことになります。
ここで見落としがちな問題は、本人も覚えていないような幼少時に受けた外傷です。
幼少時にできた歪みでも、矯正をしなければそのまま成長して大人になるため、歪んだまま骨格が出来上がります。
そうすると、一歳の頃に階段から落ちてできた首の歪みが原因で、40歳を過ぎた頃に腕がしびれてくる、ということが普通にありえます。
スポーツによるフィジカルコンタクト
外傷は日常生活だけで受けるとは限りません。他にも注意しておきたいものは、スポーツによって体に掛かる衝撃ですね。
とくにリスクが高いのは、サッカーやラグビーなど、相手の体との接触を伴うコンタクトスポーツです。
相手と接触した際の衝撃や、接触による転倒なども立派な外傷ですから、何度も繰り返し体に衝撃を受けていると、それが原因で骨格は歪んでしまいます。
実際、当院のレントゲン分析の結果でも、サッカーやラグビー、格闘技などのコンタクトスポーツの経験者は、同年代の方に比べて骨格の状態が悪いことが多いですね。
他にも、これは厳密な意味で外傷というわけではありませんが、野球やゴルフ、テニスなど、体を強く捻じる動作が多いスポーツも注意が必要です。
繰り返し背骨に強い捻転力を掛けていると、少しずつ背骨がその方向に捻じれていって、やがて歪んでしまいます。
背骨を捻じる動作は椎間板にも負担を掛けますから、椎間板ヘルニアを誘発しやすいので気をつけるようにしましょう。
きれいな骨格を維持するためにも、スポーツ経験者や現在進行形でスポーツを楽しんでいる方は、定期的な体のメンテナンスを心掛けていただきたいところです。
慢性的なストレスによるカルシウム不足
慢性的に強いストレスを受けている場合も、骨格が歪んでしまうことがあります。
ストレスを受けると脳神経の興奮を抑制するために、カルシウムが使用されます。さらに、ストレス時に分泌されるコルチゾールやノルアドレナリンといったホルモンには、尿からのカルシウム排出を促進させる作用があります。
強いストレスを慢性的に受けているとカルシウムを浪費して、どんどん血中カルシウム濃度が低下していきますから、どこかから補給してこなければいけなくなります。
それでどこから補給するのかというと骨です。
骨にはカルシウム貯蔵庫としての役割もあって、体内のカルシウムの99%は骨と歯に存在しています。
ストレスを受けるたびに血管にカルシウムを放出していると、骨からカルシウムがどんどん溶け出していってしまい、強度が低下して脆くなってしまいます。
こういった現象をカルシウムパラドックスと呼びます。
骨格には自分の体を支えるという役割がありますが、骨が脆くなると自重を支えるための強度が足りなくなり、自分の体の重みで押しつぶされて骨が歪みます。
ストレスが原因で骨格が歪んでいる人の特徴としては、満遍なく骨からカルシウムが溶け出しているせいで、全体的に骨の変形が進んでいる傾向にあることでしょうか。
ストレスが全くないという人はいないでしょうから、自分なりの発散方法や切り替え方法を身に付けて、あまりネガティブな感情を溜め込まないようにしたいですね。
ストレスで暴飲暴食に走ると骨が溶ける
これは補足の情報になりますが、甘いものや炭水化物をたくさん食べてしまうと、消化の過程でカルシウムを多く消費します。
そうすると、ストレスを受けたときと同じように血中カルシウム濃度が低下して、それを補うために骨からカルシウムを持ち出してきます。
ストレスから食べることに走りがちな人は、ストレスによってカルシウムを消費し、暴飲暴食によってカルシウムを消費することになります。
結果として、大量のカルシウムが骨から溶け出してしまうことになりますから、骨の強度を維持するためにも、食べる以外のストレス発散方法を見つけるようにしましょう。
日常の姿勢
日常生活でどのような姿勢をとっているかによっても、骨格が歪むことがあります。
注意が必要なのは、仕事がデスクワークや車の運転などで、一日の大半を座って過ごすような人です。
座っている姿勢というのは、骨盤が後ろに倒れて腰が丸くなります。また、その体勢では腹筋が弛緩して、ほとんどはたらくことがありません。
体を支えているのは骨格なのですが、その骨格を支えているのは抗重力筋といって、おもに腹筋や背筋などの体幹と下半身の筋肉です。
座っている時間が長く、体幹と下半身の筋肉を使う機会が少なくなると、自分の骨格を支えるだけの力がなくなって、重力に負けて歪んでくることがあります。
若いころならまだしも、中高年以降になってくると筋力の低下も進行してきますから、運動習慣を身につけて、自分の体を支える程度の筋肉量は維持しておきたいですね。
体の歪みを予防するために気をつけたいこと
基本的に、歪んだ骨格は意識して治るようなものではなく、矯正をする以外に改善する方法がありません。
したがって、そもそも歪まないように、ふだんから予防しておくことが重要です。
当院で患者様におすすめしている方法は、運動習慣を身に付けて筋力を維持しておくことです。
外傷によって歪んでしまったものは矯正するしかありませんが、運動には筋力の維持や向上だけでなく、ストレスを解消する作用も脳科学的に証明されています。
ですので、習慣的に体を動かすことによって、ストレスで無駄にカルシウムが消費されたり、筋力の低下で自分の体を支えられなくなって、骨格が歪んでくることを予防する効果が期待できます。
運動習慣がない人は、一回30分のウォーキングを週二回程度からでも良いので、少しずつ体を動かすようにしてみてください。
骨格が歪む原因のまとめ
細かいことを挙げだせばキリがありませんが、骨格が歪む原因で多いのは、
- 転倒やスポーツによる外傷
- 慢性的な強いストレス
- 日常の姿勢による筋力低下
この三つです。
骨格は脳や脊髄を保護するだけでなく、関節を構成して筋肉や神経とともに運動器としても働きますから、きれいに保っておかないと人間としての基本的な機能が維持できません。
ですので、日々のコンディションを良好に保ち、未来を安心して生きていくためには、骨格が正常な位置で維持されている必要があります。
もし骨格の歪みが気になるようでしたら、いちど当院までご連絡ください。